性別、年齢問わずに日本人の誰もが聴いて楽しくなる音楽の代名詞といえば、
松平健さんの歌う「マツケンサンバⅡ」だろう。佳孟も大好きでよく聴いてます。
とにかく明るくて楽しいという事だけはなんとなく感じ取ることができます。
しかし、これをよく考察してみると色々と考えさせられるものがあります。
まず、タイトルに「サンバ」とありますが、このサンバはブラジル発祥の音楽だという事はご存じかと思われます。
しかし、このことを念頭に置くと「マツケンサンバⅡ」にはさまざまなツッコミどころがあることでも有名です。
まず、この曲で印象的なのは、公式のミュージックビデオでしょう。
キラキラの着物を着たバックダンサーと、主役の松平健さんにいたってはまるで彼が主演を務める時代劇「暴れん坊将軍」をゴージャスにした感じの金ぴかの着物にちょんまげ姿という、サンバなのかどうなのかよくわからない光景は見るものを圧巻させます。
曲自体にもツッコミどころがあります。
・歌いだしに「叩けボンゴ」とあるが、ボンゴはキューバの楽器であってサンバでは使用されない。それどころかマツケンサンバⅡではボンゴの演奏が入っていない。
・「オレ!」という掛け声があるが、これはサンバではなくスペインのフラメンコの掛け声。更に言うと「カルナバル」もスペイン語。ブラジルの公用語はポルトガル語。
・「ビバ・サンバ」の「ビバ」はイタリア語でやはりポルトガル語ではない。
・サンバは4分の2拍子なのに対してマツケンサンバⅡは4分の4拍子。
・タイトルに「Ⅱ」とあるように、マツケンサンバはシリーズであり現段階で4まで存在する。4に至ってはサブタイトルに「情熱のサルサ」とあり、サンバなのかサルサなのかよくわからない。
こんな風にサンバではない要素が沢山あるマツケンサンバⅡですが、これこそが日本人の外国文化の見え方を象徴しているのだと思ったんですよね。
例えば食べ物を例に挙げると、一般的に日本では洋食として捉えられているオムライスやナポリタンスパゲッティは本来は日本発祥の料理ですが、これにはちゃんと元ネタがあり、オムライスはフランスなどの料理のオムレツが元になっていて、ナポリタンスパゲッティはイタリアのパスタが元になっています。
これをもとに考えるとおそらくこの曲の制作に携わった方々は「サンバをテーマにした歌を作ろう」という目標はちゃんとあったんだと思われます。しかし、本場ブラジルのサンバを模倣するのではなく、「サンバ=明るくて楽しい曲」という漠然としたというか大雑把なイメージに松平健さんの代名詞ともいえる時代劇を無理矢理組み合わせた結果出来たものだというのが僕の見解です。
「外国の文化を日本人でも親しめるように日本なりにアレンジする。」
これこそが日本の培ってきた日本のスタイルなんでしょうね。
でも、これは日本に限ったことではないんですよね。
逆に海外でも日本の文化が海外なりにアレンジされているというか、大雑把なイメージで日本の文化を考えてることはよくあります。
例えば日本で思いつくのが「サムライ」や「ニンジャ」という存在。これをテーマにした
海外のゲームやアニメを日本人が見たら「なんかちがう…」と思うことは多々あります。
外国の文化の見え方ってその国にとっては別の何かになっているという事がよくあるという事をマツケンサンバⅡで学びました。