僕が短大生のころ、ネット上である政治家が漫画やアニメの表現を規制、あるいはそれら自体をすべて規制するという発案にネット上で批判が相次いだ出来事がある。ネット上に出ているこういった政治がらみの情報は大抵の場合フェイクである可能性がある。この出来事から10年くらい経つが、そういった規制が行われている様子はないのでフェイクだった可能性が高い。
そもそもの話、この出来事以前から、アニメや漫画といったメディアを規制したがる人は昔から存在していたのも事実。
その代表的な一例として挙げられるのが、僕が子供の頃大好きだったアニメ「クレヨンしんちゃん」だろう。このアニメは放送が開始してからそのあまりにもお下劣な内容が原因でPTAや保護者からクレームが殺到し、ある番組が調査していた「子供に見せたくないアニメランキング」の上位にいつもランクインしていた。
ご存じかもしれないが、元々クレヨンしんちゃんのアニメの原作となった漫画は子供ではなく、大人向けに連載されていた漫画であり、これを子供がTVを見る時間帯にある程度改変はしたものの、原作をそのまんまアニメで放送できるような内容ではないのである。
こうしたアニメや漫画の表現を規制したがる人がそうしたい理由にあるのは、おそらく大半が「そういう表現を見てそれに影響されて非行や犯罪に結びつく恐れがある」という危機感だろう。その危機感のきっかけと言える事件が殺人犯の宮崎元死刑囚がアニメ好きだというニュースが報じられたことだろう。
僕が思うに、表現規制をしたがる人の言うようにそれが原因で犯罪が起こるというのは残念ながら事実である、けども僕は場合によってはそういう表現が必要となる場合もあるという事もあると思うんです。
僕が下品な表現も必要だと思った理由は二つあります。
一つ目は、俳優の栗原類さんのアメリカでの小学生時代のエピソードから。ある記事のインタビューで栗原さんはアメリカに滞在していた頃、自身の発達障害の特性で冗談が通用しないために同級生と何度かトラブルになっていたと話しています。それで当時の栗原さんの担任の先生が危惧して栗原さんのお母さんと一緒に相談したところ、その担任の先生は、「もっとお下品なお笑い番組を見てください。」と助言したそうです。そして友人のすすめで「サウスパーク」というアメリカでは結構有名な割と過激なジョーク満載のコメディアニメを見るようになったそうです。それがきっかけで、栗原さんはコメディ俳優を目指すようになり、今の俳優業に至っているそうです。
二つ目は、僕の実体験です。今年の夏の初め頃、僕は理由は分かりませんが精神的に弱っていて仕事も欠勤するほど弱っていました。しかし、前から気になっていたアメリカ製の大人向けアニメ「ヘルヴァボス」というアニメがYouTubeで公式に公開されているので、興味本位で鑑賞してみたところ、嘘みたいに弱っていた精神状態が回復し、このアニメを見た翌日には元気に職場復帰できるほどになりました。「ヘルヴァボス」というアニメはアマゾンプライムで配信しているアニメ「ハズビンホテルへようこそ」のいわば外伝的なアニメで、ハズビンホテルもヘルヴァボスもグロテスクな表現とアダルトな表現満載のインモラルなアニメなんですが、中にあるミュージカルのクオリティが非常に高いんですね。日本でもこの2作品は熱烈なファンがいるほど人気な作品です。余談ですが、以前鈴木雅之さんのコンサートに行った記事で「アニメのカップリングで尊いと感じた」と書きましたが、これはそのヘルヴァボスの主人公ブリッツとその恋人(?)のストラスの恋人関係のことを言っていたんですね。
僕は、こういったお下品な表現のあるアニメや漫画は別にあってもいいとは思うんですが。規制したがる方もそれを少しでも理解してくれるために重要なことがあるとするなら、「こういう表現を見てもいいが、現実での道徳や倫理観だけは捨ててはならない」ということです。僕も一時期現実と空想の区別ができない時期がありましたが、何度か訓練するうちにそれができるようになりました。アニメや漫画は現実ではなく作り話、現実は道徳と倫理観を持って生きる。そうすれば、こういう表現で間違ったことをする人は少なくなる、と思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿