2013年9月24日火曜日

油彩『会話』

今年の1月1日に、高校時代の美術の先生の家を訪れた際にもらったF50(1167×910mm)の油採用キャンバスと木枠で何かかいてみようかなと思い、
「せっかくだから自画像を描いてみよう」ということで、自分の部屋をアトリエにして制作を進めていたわけです。
下塗りの段階、油性マジックと油で薄く溶いた絵の具で大まかに形をつくります。
製作途中の自室兼アトリエの風景。元々弟と共有していた部屋だが弟が東京で下宿をした為、
現在は佳孟一人が二人分のスペースを贅沢に使っております。
7月あたりで一旦完成した作品。地元で行った高校のOB展に出品した時のもの。見ての通り背景がベージュ一色の油絵らしからぬ非常にフラットな構成です。

しかし、これで終わるわけには行きません。
今年の9月に行われた市内の美術展に出品するべく
佳孟はこの絵に更なる改良を加えることにしました。

油絵で更に書き加えるのもよかったのですが、それじゃあまりにも平凡すぎます。
(単に油絵で描くのが苦手で面倒なだけですが)

そこで思い出したのが短大の卒業制作でした。
卒制ではA1サイズのケント紙を貼ったパネルにミリペンの黒だけで描いたペン画を制作したのですが、これをこの作品に応用できないだろうかと思い、背景をペンで書き足してみようと思った訳です。
ミリペンなどの水性顔料のペンだと油絵の具の乗った表面がインクをはじいてしまうので
油性ペンの極細で模様を書き足していきました。

しかし、描いている途中である問題が2つ発生しました。

一つは、油性ペンの線画が次第に薄くなっていること。もう一つは極細の油性ペンの先が描いていくうちに全くインクが出なくなってしまったこと。(フェルトで出来た太字くらいだと問題ありませんでした。)

これはイカンと思い何か策は無いかと考えていると、

「油性は油性でも、油性ボールペンならいけるかも?」

と思いつき、急遽家にある油性ボールペンを片っ端から集めて描いて見たところ
これが見事にうまくいきました。

程よく良い太さ、濃さの線がかけるだけでなく油性ボールペンの欠点でもある
途中のかすれもスミボテも殆どありませんでした。

結論からいって「油性ボールペンは紙よりも油絵の上に描くのに適している」ということです。

これはあくまで推理ですが、
油性マジックの場合はインクの中にシンナー等の有機溶剤が含まれているため、インクと油彩絵の具が溶け合ってしまうため、薄くなってしまうのに対して、
油性ボールペンの場合は油絵の具と似たような粘度の高いインクのため、インクと油彩絵の具が溶け合う事無く描けるということでしょうか。

ともかく、こちら↓が完成した改良版の「会話」です。
背景の真ん中に黒い三角形の中に描かれているのはエジプト神話でいう「ホルスの目」といい、
万物を見渡すといわれています。油性マジック黒の極太で描いた三角形の上に白いマジックで目と模様を描いています。
背景の左右にはヒエログリフで山口県出身の詩人「中原中也」の詩の冒頭が描かれてます。
向かって左が「汚れちまった悲しみに」、左が「サーカス」

わずかですが、人物にも改善を加えています。髪の毛を油性マジックの中字、影や輪郭線は油性ボールペンを使用してます。


【今回の作品を製作した感想。】

正直、今度は油絵よりも油性ボールペンだけで描きたい。

2 件のコメント:

  1. 素敵な絵ですね、込めた意味も魅力的です!
    質問失礼します。
    キャンバスに油性ボールペンで細かく描き込むことは可能でしょうか。。。?
    のちに変色したりなど、、、如何でしたか?

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    1. コメントありがとうございます。
      若干変色はしますが、完全に消えるわけではなさそうです。
      一般的な油性染料だと色あせる傾向にあります。保管方法をうまくすれば大丈夫だと思います。

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